ホ別3万円の女の子と同居していた話。②
もう数年たっているし、プライベートも仕事もいろんなことがあって詳細は覚えてないけどさ。
汚くて綺麗でなんだか少しだけ痛かった気がする。
▽始まりの話。
▽ 続きの話
ホ別3万円の女の子と同居していた話。②
「この問題がわからないんだけど…」
そう言って問題集を見せてくる。
こないだ欲しいって言ってた問題集かこれ。
赤い表紙に金色の字で『センター試験』と書かれた本。
教科書のだささは置いといてもなんか、受験生っぽいなあ…
ああ、受験生だっけこの子。
てか、三角関数なんてわかんねえよ。
差集合からド・モルガンの法則までは完璧なんだけどな~
なんて軽口を叩く横で扇風機がやれやれと首を振る。
うん。それっぽい文章書けてる感じある。
前回の記事の最後に書いたんだけど
この子と一緒に暮らしたの春から秋にかけてなんだよね。
今回と次回の記事でこの子との話は終わりかな。
もうしばらく付き合ってくれるとうれしいです。
ついでにほかの記事も見てほしい。
特に看護師のことについて書いている文章を読んでほしいわね~。
「ねえ、好きって言ってよ」
いつも唐突に唇を震わせる。
何気ない日常の隙間で。
自分の居場所を探すかのように。
「知ってる」
俺の答えに嬉しそうにつぶやく。
不安になる時ってどんな時だろう。
自分の居場所がないと不安にならないかな。
相手の中に自分の居場所があることを確認したかったんだろうな。
これは余談だけど…
「私のこと好き?」とか聞いてくる女の子はめんどくさい。
可愛いと思う一方で正直に言うと大変にめんどくさい。
年上ならそれはもう『ゼクシィ』を机の上に置かれるくらいつらい。
友達は家に帰ると机に『たまごクラブ』が鎮座していたらしい。
いいパパになれよ。
関係がないことを考えていたけど…
自分のことを好きかどうかなんてことを訊くのは落ち込んだり不安になってるときだよね。
大人になれば自分の機嫌は自分で取れよと思っているので落ち込んだら自分の機嫌を回復できるシステムを構築しておいてほしい。
いや、俺もすぐ落ち込むので人のことなんて言えないんだけど。
最近、マジで落ち込んだことがある。
チョコパイだと思って口に入れるとエンゼルパイだった。
絶望。
マシュマロ入ってる。
マシュマロ自体は好きなのだけども。
今はお前じゃない。
この悲しい出来事から結婚相手はチョコパイだと思ってエンゼルパイを食べてしまった悲しみがわかる人にすると決めている。
今となっては当時の自分の配慮のなさに悔いることばかりだけど訊いたことがある。
「親と仲悪いの?」
完全に訊くべきではないやつよな。
しかも訊き方な?
「別に興味ないよ。あんな人たち」
遠くを見ながら話す横顔はすごく綺麗だった。
以前記事に書いたけど、うちは離婚してっからなあ~。
いやほら、俺、医療者だし毒親についての知識やDVについての知識があっただけになんだかなあって感じだった。
そういえば、 以前見た親に殴られたという痣を思い出した。
痣に関してその子はなにもしてほしくないって言ってたからそれ以上はなにも言わなかった。
その言葉に従って俺はなにもしなかった。
いや、ちがうな。
なにもできなかった。
その子の環境を変えることなんてできなかった。
彼女は自分で環境を変えた。
自分の環境を、自分の力で。
自分の身体で。
気が付くと彼女の手元には諭吉が何人もいた。
甘い言葉を囁いて。
身体を重ねて。
嘘を愛して。
自分を殺して。
正気じゃないぜ。
俺はそんな彼女のことを好きだったんだろうか。
今じゃ思い出せないけど。
身体を売って生きる彼女をどこか見下していた気がする。
それでも素敵だって思っていたんだ。
彼女は自分の人生を全力で生きていたと思う。
刹那的な生き方をする彼女に惹かれていた自分を否定したくない。
かっこよくて優しい人になりたいね。