優しくてかっこいい女の子の話。
今回は看護師のお話をしましょうかね。
前回は看護に関係ないえってぃな話をしたので。
ちなみに、パンストの気持ちになれって言われたので破られるパンストの気持ちを考えた記事も書きかけています。
今回は本当にまじめな話をしますよ。
同期のお話です。
とっても優しい子がいるんですよ。
入職してはじめましての時に「ひさしぶりやん!」って言ったら「お前知らん」って返してくるような女の子。
仕事もできるしほかのスタッフとのコミュニケーションも上手なの。
そんな彼女と一緒に夜勤をしている夜です。
あれは冬でした。
降り続く雪が音を吸い込むような夜。
いわゆる頻コールの患者さんがいたんです。
頻コールとは…
言ってしまえば、ナースコールを何度も押す患者さんのことです。
他には抑制用のセンサー類を外してコールが何度も鳴るなど。
こんなことは医療者としていうべきではないと思っていますが正直困る。
面倒なんですよね。何度も部屋に行かないといけないことが。
業務が暇だったらいいんですけど、看護師の夜勤って暇なことはあんまりないんですよね。
担当している30人程度の患者さんの方針確認や点滴・内服の確認などパソコンに向かってすることだけでもたくさんあります。それに加えて、点滴の更新や薬の配薬、食事介助、痛みどめなどの使用、コール対応など多くのことをしていかなければいけません。
あんまり愚痴っても仕方ないですけど。
その日の夜勤もとてもばたばたした忙しい日でした。
夜間の入院や患者さんの不穏言動など。
少しだけ取ることができた休憩から出てくるとその子がいないんです。
他の患者さんの所に行って痰の吸引でもしてるのかなって思ってました。
22時の点滴更新のために昼間から何度もナースコールを押す患者さんのところへ行きました。
その光景を見てなんていうか、ああ、勝てないな…って思いました。
その子は患者さんのベッドサイドに座って手を握っていたのです。
その方は、病気の関係でしゃべることはできません。
抜いてはいけないチューブがあり上肢の抑制をしていました。
その抑制を外し、手を握っていたのです。
今思い出してもなんだか目頭が熱くなります。
そんなこと普通じゃんって思うかもしれないですが、それが普通なら医療や介護の世界はもっと優しいはず。
できないんです。
休憩時間も十分に取れない中で患者さんのベッドサイドに行って話を聞くなんてことは。
医療者であると同時に我々も人間であり、被雇用者なのです。
ナースコールに出たからといって給料は上がりません。
優しくしたいと思っていてもそれができない環境があるんです。
大きな声で言うことではありませんが一部のスタッフですが何度もコールを鳴らすからナースコールを手の届かないところに取り上げることもあります。
その子はベッドサイドに自身の意思で座っていました。
なんていうか感覚が分からなくなるんです。
医療の現場に身を置くと。
患者さんの気持ちが。本当にわからなくなるんです。
わからなくなっている自分に気が付けなくなっていることにさえも気が付けなくなるんです。
そのあと、その子も休憩に入ってもらうために今度は自分が交代しました。
その患者さんはそばにいるとナースコールに手を伸ばすことはありませんでした。
それまでの頻コールが嘘のように。
寂しかったんだろうな、体もつらいし。
そばに誰かがいてくれるだけで安心するもんな。
昔、インフルエンザにかかった時に当日付き合っていた彼女がそばにいてくれてなんだかうれしかったな。
そんなことを思い出しました。
仕事終わりのお話。
同期に仕事が終わるとすぐに連絡しました。
しばらくして返ってきた 通知の先にはこの文章がありました。
「つらいのに何もできない上に寂びしい思いをしているならせめて寂しさだけでも減らしたいと思ったよ」
かっこいいなあと思いました。
これは勝てないなあって。
勝ち負けじゃないけどこの子の感覚には追い付けない気がしました。
そんな話です。
僕は優しい人になりたいんです。
ついでに看護師の夜勤の話です。
参考にどうぞ。
なんか前回の記事との落差すごくてまいっちゃうねほんとに。笑