「ねえ、ストッキング破るやつやってみたい」
令和元年。吹く風が肌寒くなってきた休日。
友達でもない恋人とは言えない関係の女の子と他愛もない話をして過ごしていた。
うんこいきてえなあ… 明日も仕事か… ねむてえ…
一眠りしてもいいかな。
二人掛けのソファに2人並んでぼんやりと考えていた。
温かいコーヒー飲みたいな。
まどろんでいると隣で声がする。
「ねえ、ストッキング破るやつやってみたい」
え。なんていった。
「ストッキング破るやつやってみたい」
いや、2回も言わないでよ。
わかったから。
なんでそんなに冷静なの?
頼むからこっち見ないでよ。
曇りなき眼で見定め、決めないで。
急にどうしたの?と聞いてみる。
「友達がおもしろかったって言ってたから。もうすぐハロウィンだし。」
もうそんな時期かあ。渋谷の人混みが浮かぶ。
まあ、ストッキング破るやつするけどな!!
そんなんくそエッチやん!!
興奮を顔に出さないように平静を保って唇を震わせる。
「くそ可愛いからあり。しよっか」
なあ?よく見たら今日の服あれじゃね?
白いブラウスに秋色のスカート。
しかもいわゆる黒ストッキングじゃね。
これはおそらく40デニール。
20は薄すぎるし60は濃すぎる。
ああもう感謝しかねえ。
産まれてきてありがとうな。パンスト。
てか、お姉さんやらしすぎやね?
服を選ぶ前からストッキング破るやつやりたいって思っていたのか。
心からの感謝を。
そっからはいつもの流れ。
いちゃいちゃしながらベッドに入ります。
なんとなくだけどいつもより脚をすりすりしてたような気がする。
ストッキングの欲望には勝てねえ。
いよいよストッキングに手を掛けるときが来ました。
これは完全に余談になるのだけれども…
いやらしいことをするときってそこに至るまでの雰囲気がすごく大事だよね。たとえば1月前からデートしようって決めた休日に向けて美容院にいったり、エステに行ったり、服を買ったり、部屋とか車を綺麗にしたりってすごく大事だよね。
そこに至るまでの経緯で大切にしてる、されてるって思うよね。
詫び寂びっていうのかな。
閑話休題。
もちろん言うまでもなく俺は女体が好きだ。
てか、男はほとんどそうだと思っている。
それに新しいことを始めるのも好きだ。
知らないことを経験してこそ自身が成長できると考えている。
俺は今日、ストッキング童貞を捨てる。
でも、ストッキングってどこから破るべきなんだ…?
お尻のところからか?
それともふとももあたりか?
ここは豪快におまたのあたりから豪快にいくのか?
ベッドの上、乱れた服。破れていないストッキング。
拙者、パンスト童貞侍。いまだに何も斬れない。
こんなん義務教育で習ってないもの。
義務教育の敗北。
焦る俺。緊張し始める女の子。
俺は男だ。日本男児だ。
ここで引くと実家のじいちゃんが泣いてしまう。
こんなブログを書いている時点で実家のばあちゃんも泣いてしまう。
実家の犬は俺が帰省しても「ああ、帰ったか」という一瞥しかくれない。
実家の家族も応援してくれている。
ここはおまたから思いっきり破くのだ。
おまたの部分の薄い布をつまみ、両手に力を入れる。
しかし、破れない。
破れない。破れないのだ。
俺そんなに非力ではないのだけれども。
「破れないのー?」
声が聞こえる。
焦燥感。これは焦燥感。
おいおい、目の前の女の子が恥ずかしい思いをしていやらしい体験をしようと動いてくれたんだぞ。それをむげにするような男なんてゴミ屑じゃねえか。
改めておまたを目指して指先に力を入れる。
伸びたストッキングの下に淡い紫の下着が透けている。
この下着も今日のために選んでくれたんだろうな…
なんかかわいいな。大事にしたいと思うな。
「あ、これふともとあたりからの方が破れやすいかも」
女神の啓示。
太ももに手を添わせて布に力を掛ける。
引き裂くように。
ジジジジジジィ_____
いとも簡単に破れる。
あっけなく。
ふと思った。
「この子、今までほかの男にストッキングを破られたりしたことあるのかな」
その後はいつもの通りに事は終わる。
紆余曲折あったが確かに興奮した。
そもそも「破る」という動作は日常生活ですることが少ない動作であると思う。
だからこそ、興奮するんだろうか。
非日常感。嗜虐心。そういったものを求めているんだろうか。
さらに事後の賢者タイムで己の肉体的な無力さと無知、精神面の脆弱性を再認識した。
ついでに一緒にいる女の子に昔の男の影を見て若干興奮した自分にへこんだ。
むっつりかよ俺。
この記事を書く際に調べたのだけれども…
「破れにくいストッキング」と「破りやすいストッキング」がある。
一ミリも興味ないしこの広告をクリックしたからといって俺に収益が入ることはないから今後の参考にして欲しい。
ちなみにストッキングのおまたの部分は生地が厚く破れにくいとのこと。
また一つ賢くなった。
後日談。
この記事を書く際に「参考用に写真撮らせてくれよ」っていったら普通に断られた。
悲しい。
人はいつも何かを失いながら生きていくんだ。
今回はおふざけテイストだけどいいねん。
えっちてぃな看護師なので何書いても許される。
まじめな時とふざけた時のふり幅がある大人の方がかっこいいいよね。