包丁を突き付けられた話。
結論:包丁は食べ物を切るものだ。
ことのはじまり。
同僚たちと「知り合いをひとり連れてくるBBQ」の企画をした時に出会った。
友達が連れてきた子がいた。
口数は少ないけど綺麗な子だなって思っていた。
なんやかんやあって飯行ってお出掛けして仲良くなった。
少しだけ感情に波はあった印象かな。
晴れた日だった。
部屋でのんびりしていた。
明るい陽が射す時間だった。
珈琲の中身は少し前に空になっていた。
「そろそろ昼ご飯を作ろうか」
そう話したことがもう懐かしい。
唐突に何の前触れもなく当たり前のようにそれは起きた。
包丁を突き付けられた。
華奢な女の子に。
いきなりすぎて理解できなかった。
茶色いワンピースにチェックのエプロン。
ワインレッドの靴下が見える。
秋色の可愛いコーディネート。
白い足首が映える赤だなって思った。
え、てかその包丁あれやん。
一人暮らしを始めた時に実家のばあちゃんがくれた安物だぞ!!!!
その程度の安物で俺をさばけると思ったのか…?
あ、嘘嘘。
めっちゃきょどったわ。
「大事にされていないと思っていない」
「特別な誰かになれないのが寂しい」
そういって昨日は泣いていた。
自分の話を少しだけさせてほしい。
恋人は作っていない。
俺自身が今は看護師としての能力を上げること、収入を増やすことや起業することを目標にしている。それも3年後の目標だ。
かっこよくて優しい人になりたいなって思っている。
そのために今できることをいろいろやっている。
時間の価値の話。
看護師として働いていると女性スタッフの話を聞くことが多い。
それも、交際や、結婚、仕事、お金、人間関係なんか人生に直結する内容だ。
職場でもプライベートでも男性と話をすることも少なくない。
酒の席や喫煙所。多くのことを学ぶことができる。
マッチングアプリでいろんな女の人とも会った。
▽過去記事
そうやって周りの人との関わりの中で気が付いた。
男と女で時間の価値はこんなにも違うのか。
俺まだ20代なんだよね。
20代中盤になって周囲の就職や結婚や転職、引っ越しの話も増えた。
結婚を含めた「人生の転換期」って感じがする。
女性は特に結婚して職を変え、引っ越しをすることが多いよね。
「結婚する気もさらさらない」
「実際金ないしできんくね?」
こういったことを話す男友達は少なくない。
「結婚は30までしないほうがいいよ」
「子どもできたら自分の時間がなくなるし嫁も厳しいししんどいよな」
既婚者の先輩でそう話す人も少なくない。
それはとてもかっこ悪いのでそうなりたくないなって思う。
先輩方は嫁や子供が好きで好きでたまらないけど言葉にするのが恥ずかしいからそういっているんだろう。
いやでも、ほら。
結婚って話になると20代の時間ってすごく貴重だ。
男と女の「年齢」は恋愛市場において「価値」が異なる。
正直、年取ってるだけで何もない人もいるけど。
経験値って大事だなって思う。
「時間の大切さ」を知っているいるからこそ「付き合う」ってことをしていない。
できなくなった。
今していることの結果が伴わないかもしれない。
起業なんかが失敗しても生活保護などの社会保障を使用した生活を使えるなって思っている。この日本であれば餓死することはないだろう。
そんなことに巻き込めないだろ?
それに考えてしまう。
女の子が俺と一緒にいる時間でもっとたくさんのことを学べたかもしれない。
女友達と遊びに行ってかけがえのない時間を作れたかもしれない。
もっとかっこよくて優しくて賢くて稼いでいる男性に出会えるかもしれない。
その時間を独占してしまうことは合理的でない。
多くのことを知ったうえで選択することを好ましく思っているからこそこういった風に思うんだろうか。
そう考えている俺は伝えている。
「付き合うことはできないよ」
もちろん自分自身にお金や時間が足りないことも理由にある。
「それでも一緒にいる」って言ってくれる子と一緒に過ごす。
嘘ついて騙すのはカッコ悪いじゃん。
相手を傷つけることになるし。
その子のことはしっかり傷つけていたけど。
「大事にされていないと思っていない」
「特別な誰かになれないのが寂しい」
そんなことを言わせてしまった。
包丁を突き付けさせてしまった。
包丁なあ。笑
最近友達が彼氏に包丁を向けられたって話していたことを思い出した。
ちょっと笑えた。
実際はぜんぜん笑えない状況だったよね。
包丁を突きつけられる経験なんてしたくなかった。
出てきたものは仕方ない。
いやまあ、その後は包丁を納めてもらえたよ。
いくつかのやり取りをして。
血に染まるなんてことはなく。
あっけなく。
おもしろみもなく。
多少は感情的な場面もあったかな。
実際は10分くらいか、30分くらいか。
よく覚えてないけど。
謝ってなだめて仲直りセックスで事なきを得た。
よろ膣お願い致しまセックス。
「付き合いたい」って思っているであろうにそうは言えない唇がいじらしい。
少しだけいとおしいと思った。
なにはとあれ一件落着。
だけど、なんでだろうね?
なんで包丁を出してきたんだろう。
出さなきゃいけなかったんだろうなって考える。
物騒な事件が多い昨今。
たぶんだけど・・・
包丁を突きつけるときは感情の高ぶりがあったんだろうなって思う。
カッとなってやりました。みたいな。
それにしても急にだけど。
だって飯作るかって話した直後だぜ?
冒頭でも書いたけど若干メンタルの浮き沈みあった。
そうはいってもな?
完全感覚Dreamerかよ。
あがり幅すげえな。
感情の燃費よすぎる。
包丁を持っていたタイミングでふと泣いた夜のことを思い出したのかな。
包丁を突き付けてからはなんとなくわかる。
突きつけてしまった包丁を納められなかった。
むき出しにした感情を納めることができなかったんだろうな。
よくあるよね。
言ってしまった手前、撤回できなくなったりすること。
不機嫌になってごめんなさいができなくなったり。
そんな感じじゃないのかな。
後日談。
その子はしばらくしたら恋人ができて会わなくなった。
包丁を突きつけるような強い想いを抱いても代わりはいるんだなって少し悲しくなった。
正直、その時は俺が「ちょうどいい異性」なだけだったんだろう。
恋愛関係はリズムゲームだと思うようになった。
代替品はいくらでもいる。
お互いの恋人の有無や仕事の調子、体調やメンタルのタイミングが合う。
それが赤い糸って言われるものなのかもしれない。
人生はリズムゲーム。
その子の真意は今となっては確かめようがないけど。
やっぱり少しだけ寂しい気がする。
ああ、これは未練ってやつかな。
結論:包丁は食べ物を切るものだ。
これといった落ちもなく考察もない話だけど読んでいただけてうれしいです。
プライベートと仕事は別だから許してほしいな。